2012年6月に創業したイタンジは、2度の代表交代を経て、2023年11月1日、私が3人目のCEOに就任しました。私たちが掲げている「テクノロジーで不動産取引をなめらかにする」というミッションは創業当時から変わらず、不動産業界に向けたサービスを展開してきました。
現在、多くの不動産会社様に導入いただき、4つの不動産賃貸業務支援サービスが仲介会社利用率No.1になるなど(2023年8月時点)、客観的にも業界内から高い評価をいただけるようになりました。不動産業界の皆様や部屋探しをするユーザー様に真摯に向き合い、寄り添うことで、不動産業界のDXに僅かながら貢献することができたのではないかと思います。
失敗から着想を得て、業界シェアの拡大を続けてきた
これまでのイタンジについて教えてください
今でこそ、イタンジのサービスは仲介会社利用率No.1を獲得できるようになりましたが、これまでは順風満帆だったわけではありません。
イタンジは創業初期、「不動産管理会社と入居希望者を直接つなぐ」というコンセプトの賃貸物件情報ポータルサイト「HEYAZINE(ヘヤジン)」を提供しておりました。しかし、不動産業界の慣習について知見が不足しており、私たちが頭の中で考えた課題からはシステムとして未完成な部分が多く、業界の的を射るサービスを開発できておりませんでした。その後、来店なしで内見可能で、チャットで物件の質問ができる不動産仲介サービス「nomad(ノマド)」を提供したのですが、収益性の観点からなかなか軌道に乗せることができない時期が続きました。
しかし「nomad」を運営する中で、私たち自身が賃貸仲介事業を経験したことは、業界の課題を肌で感じるよい機会になりました。そこから着想を得て、物件確認電話の自動応答システム「ぶっかくん」の開発に至り、これが私たちの運命を大きく左右するきっかけとなりました。物件確認の電話に感じる煩わしい思いは、私たちが実際に賃貸仲介の業務を経験しなければ分からなかったと思います。
その後、「ぶっかくん」に続き、内見予約受付システム「内見予約くん」、入居申込受付システム「申込受付くん」とサービスが広がり、不動産業界との距離が一気に縮まりました。そして「ITANDI BB」「ITANDI BB +」など、不動産取引をなめらかにするためのサービスを展開し、事業拡大を続けてきました。
新たなVISIONとVALUEを浸透させたい
イタンジの代表として、これから大事にしていきたいことはなんでしょうか?
これまでは、アナログが主体だった不動産業界へ、テクノロジーを通して価値を提供することに熱心に取り組んできました。今後は組織へもしっかりと目を向け、持続性のある体制構築に力を入れていきたいです。その中でも、新たに掲げるVISIONやVALUEをメンバー全員に浸透させていきたいと思っています。
VISIONは、メンバーの仕事に対する意義や目標になります。仕事をする中でミスをしたり怒られたりすることは誰にでも起こり得ると思いますが、そのような瞬間にVISIONを振り返り、自分が何のために働いているのか振り返ってもらいたいです。
VALUEは、行動指針として会社全体の一体感を醸成するための要素です。イタンジで働く人数が増え、個々の行動を全て把握するのは難しくなっています。イタンジのメンバーとして、これだけは大切にしてほしい、これだけは守ってほしいというものを明確に伝えて、あとはメンバーを信頼し、自由に行動してもらいたいと思っています。
業界理解を深め、事業を長期的に見据える
イタンジをどのような組織にしていきたいですか?
メンバーが業界のことを深く知り、現在の事業を継続し発展させられる組織にしたいです。
不動産業界には、複雑な構造や独自の慣習が多く存在しています。イタンジはそんな業界をテクノロジーで変革することがミッションなので、難易度が高い試みだと考えています。アナログなコミュニケーションが主要である業界においてITを浸透させていくには、業界の事情に対する深い理解が欠かせないと、自身の経験から痛感しました。このような経験は社内に伝えていきたいですし、メンバーにもその考えを忘れないでほしいです。
1ヶ月先のことだけを考えていたら、1ヶ月分の限られた成果しか期待できません。しかし、1年先、2年先と目標を長期的に見据えることで、一つ一つの行動の質とアプローチの方法も変わってきます。不動産業界で活躍される皆様、住まい探しをされるエンドユーザーの皆様のお役に⽴つにはどう行動するとよいのか、不動産業界に寄り添ったサービスを提供するにはどうすべきか、長期的な視点で考え、不動産業界のDXに貢献できるよう尽⼒していきます。
そして、「不動産業界のインフラになる」という共通のビジョンに向かい、業界で長く使い続けていただける、人々に感動を与えられるサービスををつくれる組織にしていきたいです。